フライフィッシャーが実践すべきクマ対策【本当に大丈夫?】

フライフィッシング


晩秋の頃より、クマによる人身被害が、多数報道されています。
昼夜を問わず活動し、ヒトに対する警戒心の薄れた、アーバンベア(都市型のクマ)が増えているのが、最近の傾向です。

釣り場周辺で暮らす古老の話しでは、クマが主食にするドングリの凶作と、里山集落の高齢化が原因ではないかと。

高齢化の進む過疎集落では冬眠前のクマが、放棄された柿や栗の木の果実に引き寄せられ、集落の中にまで頻繁に出没し、生ゴミまで漁りはじめているらしい。

本章は、晩秋の犀川で1週間の車中泊釣行で感じた、フライフィッシャー目線でのクマ対策についてご紹介します。

カウンターアソールト

元祖、クマ撃退スプレー カウンターアソールト 噴射到達距離9.6m 攻撃してくるクマに対し、トウガラシ抽出エキス(カプサイシン)を噴射し、追い払います。
主成分であるトウガラシの辛さの単位(スコヴィル値:SHU)の比較では、市販の護身用スプレーが200SHU前後であるところ、本製品は320万SHUという、刺激(辛さ)の強さを有します。
本体の底面には、使用期限が明記され、安全性と信頼面でも配慮がされています。

使用上の注意点
①ホルスターで携行する
想像してみて下さい!あなたは興奮するクマを目前に、退路の有無や噴射のタイミング、クマとの距離や風向きをはかりながら、震える指で安全ピンを外し、噴射レバーを引かなければならないのです!
その一大事に、スプレー缶がベストのバックポケットの中…という展開は、絶対に避けたいですよね。
今回の釣行では、ホルスターの手配が間に合わなかったため、ペットボトル用のボトルクーラーを代用し、ウェーディングベルトに吊り下げていました。
ホルスターは必ず準備しましょう。

②保管方法
猛烈な刺激(辛さ)を売りにする商品です。万が一、移動中の列車やクルマの中、屋内や人混みなどで「誤射」してしまったときは大変なことになります。管理不行き届きによるお咎めと、相応の出費、場合によっては損害賠償請求という形で責任が追及されることを覚悟しておくべきです。

shigeseoは、フィールドを離れたあと、結束バンドでセーフティクリップを再びロックし、円筒状の缶に入れ、クーラーボックスで厳重に保管しています。
説明書は必ず熟読し、取り扱い方法を理解しておきましょう。

最近では、スコヴィル値の低い対人用の催涙スプレーが「クマ撃退スプレー」と称して販売されているようです。
賢明なFFは、ご自身の大切な命を守るためにも、元祖クマ撃退スプレー「カウンターアソールト」をご指名ください。
価格は、コンプリートスキンと同じくらいで、けっして安い買い物ではありません。
需要の増加で価格が上昇する前に、命を守る必需品と割り切り、是非とも入手されることをオススメします。
くどいようですが、くれぐれも「誤射」には、気をつけましょうね。

ホイッスル

自分の存在を、大音量で周囲に知らせることで、クマとの不意の遭遇を防ぎます。
当然ですが、ヒトに興味を示し、自分から近づいてくるような個体には逆効果といえるでしょう。

ホイッスル音に怯えたクマが逃げた先に、別の人が居た場合は、二次被害に遭わせてしまう可能性がある。など、諸説ありますが、見通しの悪い林を通り藪に分け入るときや、たわわに実った柿の木の幹に爪痕を発見してしまったとき、誰もいないランを釣り下り引き返す水辺で、得体の知れない「四つ脚系」のケダモノ臭に気付いてしまったときなど….不安に押しつぶされそうになった胸の内を、けたたましいホイッスル音と共に、思いっきり吐き出す行為は、フライフィッシャー自らができる「積極的な防御」ともいえ、とても心強い思いがしました。

ベアベル

こちらの存在を「鐘」や「鈴」などの鳴り物でクマに知らせ、不意の遭遇を防ぎます。
クマの聴覚が、どれ程のものか、知るよしもありませんが、無いよりはマシ。といったところでしょうか。
瀬音にかき消されないよう、100均製のベアベルに、お遊戯用の鈴を組み合わせ、音程差のある「鳴り」がするよう工夫しています。
ベアベルは、宙に浮いているときは、透んだ音が鳴り響くのですが、なにかに触れている状態では、イマイチ響きが足りないため、取り付け位置には工夫が必要です。

最近では、このような工夫のされた商品も販売されているようです。イイですね。

ナイフ

スプレーの噴射が間に合わないケースを想定し、シースナイフを携帯しました。

運悪く丸腰でクマと対峙することになってしまったときの対処として

うつ伏せに寝転んだ姿勢で腹をガード、両手を後頭部で組み、頭と首筋、顏をガード

これは一般にいわれる「防御の姿勢」ですが、冷静に考えてみましょう。
あなたはこの姿勢で、興奮したクマの鼻息を耳元に受けながら、じっと耐え続けることができますか?
ムリです、絶対に不可能です。

「ヤ・ラ・レ・ル前にヤル」斜め掛けにした胸元のシースナイフで、最悪の事態に備えます。

水辺に残されたメッセージ

水辺に残された動物の足跡に、いま一度注目してみましょう。

野生動物(四つ足系)の足跡が、常に水辺と平行に残されていますよね。
里山周辺のアーバンベアは、川沿いに移動していることが、最近になって知られています。

あなたが夢中になって、キャスティングしている背後の繁みを、こっそりとクマが移動しているかもしれないのです。

何かのタイミングで、クマと鉢合わせをしてしまう……十分に考えられますよね。

クマ被害について、さまざまな立場からの、ご意見や情報、警鐘が数多く発信されています。
来シーズンの釣行を不安に感じているフライフィッシャーも多いことでしょう。

正直なところ、今回の釣行は迷いました。本当に、本当に怖くて仕方がなかったです。

・釣り場に到着し、身支度の間は大音量でカーステレオを鳴らしました。
・食事や休憩はクルマを背にした位置にチェアを配置し、死角からのクマの接近を警戒しました。
・昼寝は、リヤゲートを閉め切った車内でしました。
・真夜中の小用で車外に出る時も、クマ撃退スプレーを片手に用を済ませました。

結果、クマとの遭遇は無かったです。
一連の対策が功を奏したからか、偶然クマの生息域から外れていたからなのかは、わかりません。
最近の山村地域では、自治体が積極的にクマ被害や目撃情報を公開しています。

釣行を予定している地域にクマの目撃情報がないから大丈夫。
などと安心していると、あなたが、第一の目撃者(被害者)になるかもしれないのです。

最後に、本音でお伝えしておきたいことがあります。

・相手は腹を空かせた野生の動物です
・クマの特性は個体ごとに異なります

「人間の勝手な推測や思い込みが通用しない相手である」

ということを、深く肝に命じておきましょう。

クマの生息域で釣りをしなければ被害に遭うことは絶対にありません。
それを我慢できないのがフライフィッシャーです。
もし、あなたが「行く」決断を下したのなら、ご自身の責任で命がけの釣行をなさってください。
そして、必ず無事に帰宅されることを約束してください。

幸運が訪れますように!
大物が釣れますように!

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