フライフィッシング歴は30年くらいです。
振り返れば、釣行のほとんどが大河川(本流)のフライフィシングでした。
進化系チューブフライとは
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/進化系チューブフライeyecatch20230114_080511.jpg)
フライフックの代わりに、エサ釣りの和鈎(バラ針)を使用する工夫を施したチューブフライのことを勝手に “進化系チューブフライ” と呼ばせて頂きます。
進化系チューブフライのメリット
- いつでも入手可能な“バラ針” を使用するため経済的
- 大小さまざまなフライのシルエットにも応用可能
- 上下の方向性のないパターンなら、ペアのマテリアルを揃えなくてもOK
私がTUBERに転向したのは、超が付くほどの大物に、二度も「フライフック」をのばされたのがきっかけでした。
トロフィーを手にするのに相応しい「ハリ」を見直すため、釣具の量販店を訪れた私は、エサ釣りの「バラ針」のパッケージに、釣り針メーカーのプライドともいえる「線径」と「フトコロ強度kg」が記されているのを見て閃きました。
長い間、親しんだFF業界の情報からは少し距離をとり、別ジャンルの釣法や、ガンプラ製作の精密加工ツールなどを試すうちに、月日が過ぎてしまいました。
フックの固定方法
進化系チューブフライは、市販されるチューブの内径に合うバラ針を使います。
チューブフライの材質は、プラスティック、アルミ、真鍮、銅などが一般的ですが、その内径とシルエットに合うお好みのバラ針を選択します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/20230115_060234.jpg)
金属(アルミ、真鍮、銅)製チューブなど内径の大きいチューブを使用するときは、コネクタでバラ針を接続します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/20230114_130217.jpg)
進化系チューブフライは、アイの無いハリを使用するため、接続部がスリムです。
そのため大型のストリーマーから小型のウェットフライまで、さまざまなパターンに応用できます。
プラスチック・金属いずれのチューブを使用する際も、チューブの内径にハリのチモトを合わせることが重要です。
この記事は以下のような人におすすめ!
- クールなチューブフライを巻きたい
- ウェットフライをリーズナブルに巻きたい
- フライフィッシングにもっと刺激が欲しい
- いやらしいフライパターンに反応してしまう
そんな貴方に、進化系チューブフライのタイイングを公開します。
shigeseoがチューブフライを “進化系” に移行させるうえで得たノウハウを “金属チューブ” を例に、まずはお披露目します。ご興味のある方、笑って流してくださる心の広い方、どうぞ御笑覧ください。
今後、公開するパターンによりましては、「これはフライではない!」と、ご不快に思われる向きを考慮しまして、数多くのテストに費やした時間と費用を回収するため、一部有料での閲覧とさせていただく予定でおります。
進化系チューブフライのタイイング
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/進化系チューブフライeyecatch20230114_080511.jpg)
SAKURA
カッパーチューブ 長さ25ミリ 直径3ミリ
フック オーナー イワナ10号 線径0.64 ※自製コネクタを使用
タグ ラガータン パール
ボディハーフ Lureflash Fishscale Bodytube PINK
ピーコックハール
ラガータン ミニ・フラットブレイド
スロート ゴールデンフェザント
ギニアフォウル
ウイング ピーコックハール
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/1カッパーチューブの固定U字ピアノ線挿入.jpg)
カッパーチューブの固定
V字に折り曲げたピアノ線を挿入します。
ここで挿入する線材(針金)は、二つ折りに曲げるのがコツです。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/2カッパーチューブストレートピアノ線挿入2本目.jpg)
カッパーチューブの固定
さらにストレートのピアノ線を、V字に曲げたピアノ線の間に挿入します。
2~3本の異なる材質(ステンレス・鉄・ピアノ線)の線材(針金)を混ぜて挿入するのが金属チューブをしっかりと固定するコツですね。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/3カッパーチューブストレートピアノ線挿入3本目.jpg)
カッパーチューブの固定
ストレートの線材をさらに挿入します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/4カッパーチューブの固定全てのピアノ線挿入.jpg)
カッパーチューブの固定
3本目のストレートの線材を挿入します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/5カッパーチューブの固定全てのピアノ線挿入2.jpg)
カッパーチューブの固定
線材(針金)の挿入が完了しました。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/6カッパーチューブの固定全てのピアノ線挿入.jpg)
カッパーチューブの固定
チューブと線材にヒネリを入れ、固定具合をチェックします。
チューブの内径に合わせた、線材の組み合わせを把握しておけば、いつでも再現できますね。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/7カッパーチューブバイスへの固定完了.jpg)
カッパーチューブの固定
バイスアタッチメントに線材を挿入したチューブを差し込み、固定します。
アタッチメント:HMH Tube Fly and Shank Tools
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/8カッパーチューブ下巻き.jpg)
カッパーチューブ 下巻き
タイイングスレッドのカラー・太さ・材質はお好みで。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/9カッパーチューブ タグ.jpg)
タグ
ラガータン ミニ・フラットブレイド
カットしてから巻くと“ロス”が出ますので、スプールのまま巻いて、タグをしっかり固定しましょう。
プラスティック製のチューブでは、ハリ挿入部の変形を防ぐため、下巻きをしっかりと入れ、タグ(後端)を巻くようにすることがコツです。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/9カッパーチューブボディチューブほぐす.jpg)
ボディ材となる Lureflash Fishscale Bodytube は、ほぐして使用します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/9カッパーチューブボディチューブ巻き上げる.jpg)
バイスのジョーを回転させながら隙間なくボディを巻いていきます。
次の工程でピーコックを巻くスペース(全長の1/3くらい)を残し、カットします。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/10カッパーチューブピーコックハールソラックス.jpg)
ピーコックハールを適量切り出し、ハールの根本側から固定をし、ソラックスを巻きます。
ピーコックハールは切れやすいため、巻きとめた上を斜めにスレッドで往復し、補強します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/11カッパーチューブピーコックハールソラックス巻き上げる.jpg)
ソラックスが完成しました。
チューブの先端の際までスレッドで固定し、余りは適当にカットします。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/12カッパーチューブレッグヒカリモノ.jpg)
ボディーに少量の “ヒカリモノ” を入れる準備をします。
ラガータンの繊維をピンセットでほどきます。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/13カッパーチューブレッグヒカリモノ切り出し2.jpg)
ほどいたラガータンの繊維の一本を引き出して、中央で二つ折りにします。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/14カッパーチューブレッグヒカリモノ固定.jpg)
二つ折りにしたラガータンをスレッドと交差させます。
巻きとめる位置は、およそチューブの外周を3等分したあたりを目安にします。
上下(背中側・腹側)のないパターンでは、チューブの外周を3分割した位置を目安に、ウイングを固定します。
これにより、Bushy(密)になり過ぎない、Sparse(疎)なシルエットに仕上がりますね。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/15カッパーチューブレッドフェザントレッグ片側むしる.jpg)
スロートを巻く
ゴールデンフェザントのバックフェザーは片側を使用します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/16カッパーチューブレッドフェザントレッグ巻き始め.jpg)
先端側をスレッドで固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/17カッパーチューブレッドフェザント.jpg)
指を添えながらハックルプライヤーで一巻きします。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/18カッパーチューブレッドフェザント固定.jpg)
スレッドで固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/19カッパーチューブレッグピーコックレッグ1本目.jpg)
ウイングとなるピーコックハールを固定します。
チューブの外周を3等分した位置を目安に同じ長さで3本固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/20カッパーチューブレッグピーコックレッグ2本目.jpg)
2本目を固定し、長さを調節します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/21カッパーチューブレッグピーコックレッグ3本目.jpg)
3本目も同様に固定します
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/22カッパーチューブレッグピーコックレッグニッパーカット.jpg)
固定した余分を適当にカットします。
お好みで..ピーコックハールを、ソラックスより少し長いくらいで折り返し、適当な長さにカットする、という裏ワザで、曖昧なシルエットを表現する方法もあります。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/23カッパーチューブギニアウイング片側をむしる.jpg)
スロートのギニアフォウルを巻きます。
フェザーの先端側から、片側を指でむしります。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/24カッパーチューブギニアウイング.jpg)
フェザーのファイバーの長さから、使える位置を決めます。
長さの目安は、ウイングのピーコックハールより少し短いファイバーを使用します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/25カッパーチューブギニアウイング固定.jpg)
ファイバーを根本方向に整え、ストークの先端側をスレッドで固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/26カッパーチューブギニアウイング固定2.jpg)
ファイバーが乱れないように、指先を添えながら丁寧に一巻きします。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/27カッパーチューブギニアウイング固定3.jpg)
一回転したファイバーの根元を指先でまとめ、スレッドで固定する位置の見当をつけます。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/28カッパーチューブギニアウイング固定4.jpg)
余分なファイバーをむしり取り、フェザーのストークを固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/29カッパーチューブフィニッシャー.jpg)
整えたヘッドをフィニッシャーで固定します。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/30カッパーチューブヘッド仕上げ.jpg)
チューブの先端からはみ出たマテリアルをカットします。
shigeseoはマテリアルの切断に、ニッパーを使います。
ニッパーは2枚の刃先を一線に合わせて切断するため、ファイバーを乱さずに綺麗にカットできますよ。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/31カッパーチューブヘッドセメント塗布.jpg)
お好みのセメントを丁寧に塗布し、ヘッドを仕上げます。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/32カッパーチューブ完成.jpg)
セメントの乾燥を待って完成です。
チューブを固定した線材は、挿入とは逆の順番にプライヤーで引き抜くと、簡単に抜けますね。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/34フック挿入.jpg)
バイスから取り外し、フックコネクタとハリの収まり具合をチェックします。
バラばりとチューブの内径が一致している場合は、フックコネクタを介さず、バラ針を直接チューブに挿入します。
フライボックスには、ハリをセットしたまま保管したほうが、扱いやすいですね。
![](https://shigeseopress.com/wp-content/uploads/2023/01/35カッパーチューブ完成.jpg)
完成。
進化系チューブフライのタイイングを御覧いただき、ありがとうございました。
今回は、金属チューブを例に、進化系チューブフライのタイイングを説明いたしました。
大河川のFFでは、アングラーのお好みでプラスチック、アルミ、銅、真鍮など比重の異なる素材でタイイングしたハリを、流れの速さや深さ、風向き、あるいは使用するフライラインに合わせて、使い分けます。
いずれのチューブ素材も、ホームセンターやDIYショップ、釣具量販店などで調達できます。
金属チューブを、お好みの長さにカットする、DIYのノウハウなどは、他のサイトでいくらでも見ることができますので割愛し、進化系TUBERとしては、極細の線材の組み合わせてチューブを固定する方法を紹介しました。
このご時世、フライのパターンなんて、ネット上にいくらでも転がってますからね。
たまにはジャンルの異なる釣りや、新しいマテリアル、材料に興味を持たれてはいかがですか。
きっと新しい発見に巡り会えますよ。
もっとフライフィッシングを愉しみましょう。
大物が釣れますように!
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