フライフックの代わりに、エサ釣りの和鈎(バラ針)を使用する工夫をしたチューブフライを
“進化系チューブフライ”と勝手に呼ばせて頂きます。
進化系チューブフライの特徴

進化系チューブフライの特徴
- ボディサイズをタイヤーが自ら選択することができる
- ウエット、ストリーマー、イントルーダーなど、さまざまなサイズ、シルエットに転用可能
- 上下に方向性を持たないパターンでは、マテリアルのペアを意識しなくて大丈夫
- ハリとチューブの接続が目立たないため、無粋なコネクトチューブから解放される
- チューブ素材はリーズナブルな価格で入手可能
フライフィッシング歴は30年くらいで、釣行のほとんどが大河川(本流)のフライフィシングです。
shigeseoがTUBER(笑)に偏向したのは超大物に2度も「フライフック」をのばされたことが、きっかけです。
- ネットイン寸前の衝撃的なバラシ
- ティペットの強度以下で開いてしまうゲイプ
- 魚のアタックがあってもハリ掛かりしないフックポイント
遠征の帰路に頭を抱えたshigeseoは、釣具の量販店に立ち寄りました。
陳列棚に並んだ「バラ針」のパッケージには「線径」と「フトコロ強度kg」が誇らしげに記されています。
バラ針なら、メーカー測定の強度と、自慢のハリ先を簡単に手に入れることができるのです。
shigeseoが知るビルトウイングタイプのウェットフライは、一旦水に浸かると細長シルエットに変身してしまいます。
ならば、はじめからウイングをボディの一部に見立て、ウイングでボディの外周を覆うことで
より“虫っぽさ”が表現できるのではないかと、ウエットフライのパターンをチューブフライに流用することで小型化を試みたのでした。
長い年月の偏った情報の取り方を反省し、ジャンルの異なる釣法や、仕掛け小物、挙句はガンプラ製作の精密加工ツール、手芸用品に到るまで、さまざまな業界の情報をリサーチする日々が続いたのでした。
フックの固定方法
進化系チューブフライは、市販されるチューブの内径に合うバラ針を使用します。
使用するチューブの材質は、プラスティック、アルミ、真鍮、銅などが一般的です。

内径の大きいチューブは、コネクタで接続するため、シルエットはスリムです。

フックコネクタは、大型のストリーマーや小型のウェットフライなど、さまざまなパターンに応用できます。
従来のイントルーダーなどにみられる無粋なコネクトチューブから解放されるのです。
プラスチック・金属いずれのチューブを使用する際も、チューブの内径にハリのチモトを合わせることが重要なのです。
この記事は以下のような人におすすめ!
- ある現象をきっかけに遡上魚が小型のハリに反応することを知ってしまった
- いやらしいフライパターンに反応してしまう
- フライフィッシングにもっと刺激が欲しい
- もっとクールなチューブフライを巻きたい
- ウェットフライをリーズナブルに巻きたい
そんな貴方に、進化系チューブフライのタイイングを公開します。
shigeseoがチューブフライを “進化系” に移行させるうえで得たノウハウを金属チューブを例にお披露目します。
ご興味のある方、笑って流してくださる心の広い方、どうぞ御笑覧ください。
今後、公開を予定しているパターンによりましては、「これはフライではない!」と、ご不快に思われる向きを考慮し、数多くのテストに費やした時間と費用を回収するため、有料noteで公表させていただく予定でおります。
進化系チューブフライのタイイング

SAKURA
カッパーチューブ 長さ25ミリ 直径3ミリ
フック オーナー イワナ10号 線径0.64 ※自製コネクタを使用
タグ ラガータン パール
ボディハーフ Lureflash Fishscale Bodytube PINK
ピーコックハール
ラガータン ミニ・フラットブレイド
スロート ゴールデンフェザント
ギニアフォウル
ウイング ピーコックハール

カッパーチューブの固定
V字に折り曲げたピアノ線を挿入します。
ここで挿入する線材(針金)は、二つ折りに曲げるのがコツです。

カッパーチューブの固定
さらにストレートのピアノ線を、V字に曲げたピアノ線の間に挿入します。
2~3本の異なる材質(ステンレス・鉄・ピアノ線)の線材(針金)を混ぜて挿入するのが金属チューブをしっかりと固定するコツですね。

カッパーチューブの固定
ストレートの線材をさらに挿入します。

カッパーチューブの固定
3本目のストレートの線材を挿入します。

カッパーチューブの固定
線材(針金)の挿入が完了しました。

カッパーチューブの固定
チューブと線材にヒネリを入れ、固定具合をチェックします。
チューブの内径に合わせた、線材の組み合わせを把握しておけば、いつでも再現できますね。

カッパーチューブの固定
バイスアタッチメントに線材を挿入したチューブを差し込み、固定します。
アタッチメント:HMH Tube Fly and Shank Tools
アタッチメントが間に合わないばあい、線材を直接バイスで挟むというワザもあり、ではないかと。

カッパーチューブ 下巻き
タイイングスレッドのカラー・太さ・材質はお好みで。

タグ
ラガータン ミニ・フラットブレイド
カットしてから巻くと“ロス”が出ますので、スプールのまま巻いて、タグをしっかり固定しましょう。
プラスティック製のチューブでは、ハリ挿入部の変形を防ぐため、下巻きをしっかりと入れ、タグ(後端)を補強することがコツです。

ボディ材となる Lureflash Fishscale Bodytube は、ほぐして使用します。

バイスのジョーを回転させながら隙間なくボディを巻いていきます。
次の工程でピーコックを巻くスペース(全長の1/3くらい)を残し、カットします。

ピーコックハールを適量切り出し、ハールの根本側から固定をし、ソラックスを巻きます。
ピーコックハールは切れやすいため、巻きとめた上を斜めにスレッドで往復し、補強します。

ソラックスが完成しました。
チューブの先端の際までスレッドで固定し、余りは適当にカットします。

ボディーに少量の “ヒカリモノ” を入れる準備をします。
ラガータンの繊維をピンセットでほどきます。

ほどいたラガータンの繊維の一本を引き出して、中央で二つ折りにします。

二つ折りにしたラガータンをスレッドと交差させます。
巻きとめる位置は、およそチューブの外周を3等分したあたりを目安にします。
上下(背中側・腹側)のないパターンでは、チューブの外周を3分割した位置を目安に、ウイングを固定します。
これにより、Bushy(密)になり過ぎない、Sparse(疎)なシルエットに仕上がりますね。

スロートを巻く
ゴールデンフェザントのバックフェザーは片側を使用します。

先端側をスレッドで固定します。

指を添えながらハックルプライヤーで一巻きします。

スレッドで固定します。

ウイングとなるピーコックハールを固定します。
チューブの外周を3等分した位置を目安に同じ長さで3本固定します。

2本目を固定し、長さを調節します。

3本目も同様に固定します

固定した余分を適当にカットします。
お好みで..ピーコックハールを、ソラックスより少し長いくらいで折り返し、適当な長さにカットする、という裏ワザで、曖昧なシルエットを表現する方法もあります。

スロートのギニアフォウルを巻きます。
フェザーの先端側から、片側を指でむしります。

フェザーのファイバーの長さから、使える位置を決めます。
長さの目安は、ウイングのピーコックハールより少し短いファイバーを使用します。

ファイバーを根本方向に整え、ストークの先端側をスレッドで固定します。

ファイバーが乱れないように、指先を添えながら丁寧に一巻きします。

一回転したファイバーの根元を指先でまとめ、スレッドで固定する位置の見当をつけます。

余分なファイバーをむしり取り、フェザーのストークを固定します。

整えたヘッドをフィニッシャーで固定します。

チューブの先端からはみ出たマテリアルをカットします。
shigeseoはマテリアルの切断に、ニッパーを使います。
ニッパーは2枚の刃先を一線に合わせて切断するため、ファイバーを乱さずに綺麗にカットできますよ。

お好みのセメントを丁寧に塗布し、ヘッドを仕上げます。

セメントの乾燥を待って完成です。
チューブを固定した線材は、挿入とは逆の順番にプライヤーで引き抜くと、簡単に抜けますね。

バイスから取り外し、フックコネクタとハリの収まり具合をチェックします。
バラばりとチューブの内径が一致している場合は、フックコネクタを介さず、バラ針を直接チューブに挿入します。
フライボックスには、ハリをセットしたまま保管したほうが、扱いやすいですからね。

完成。
進化系チューブフライのタイイングを御覧いただき、ありがとうございました。
今回は、金属チューブを例に、進化系チューブフライのタイイングを説明いたしました。
大河川のFFでは、アングラーのお好みでプラスチック、アルミ、銅、真鍮など比重の異なる素材でタイイングしたハリを、流れの速さや深さ、風向き、あるいは使用するフライラインに合わせて、使い分けます。
いずれのチューブ素材も、ホームセンターやDIYショップ、釣具量販店などで調達できます。
金属チューブを、お好みの長さにカットする、DIYのノウハウなどは、他のサイトでいくらでも見れますので割愛し、進化系TUBERとしては、極細線材の組み合わせで、チューブをバイスに固定する方法を紹介しました。
このご時世、フライのパターンなんて、ネット上にいくらでも転がってますからね。
たまにはジャンルの異なる釣りや、新しいマテリアル、材料、ツールなどに興味の対象を拡げられてはいかがですか。
新しい刺激と発見に出会えますよ。
もっとフライフィッシングを愉しみましょう。
大物が釣れますように!
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